安心と安全と穢れの話

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排水溝に入ったお箸
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お箸が排水溝に入って、つらい

「料理するのはいいんだけど片付けがダルいんだよなあ。さあ洗うか。」

お箸「お先!」

(排水口へコロコロ~)

「待って」

(ストン)

「あ、、、」

(ゴシゴシゴシゴシ)

「洗ってもなんかキモいんだよなあ、、、」


 

みたいなことってありますよね。

(私は歯ブラシでも経験があります。捨てました。)

そこで、安心と安全と穢れについて調べてみました。

安心と安全と穢れ

排水口に落ちたお箸をメッチャ洗ってもなんかキモい、、、

それは安全だけど安心できていないってことですよね。

では安心と安全の違いとは何なのでしょう。

ここでは『1. 安全』『2. 安心』、そして汚いものといえば『3. 穢れ』という3つの言葉から考えていきましょう。

そして最後に『4. 安心と安全の違い』について考えていきます。


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1. 『安全』とは

広辞苑によれば

物事が損傷したり、危害を受けたりするおそれのないこと。

(文献[1]より引用)

とあります。

つまり、排水口の中に落ちたお箸に関して言えば、雑菌を洗浄し健康に害が無いレベルの雑菌濃度になれば安全ということになるでしょう。

食器洗い洗剤で洗えば問題ないでしょうし、心配なら塩素消毒でもしておけば余裕なはずです。

でもキモいんですよね。

2. 『安心』とは

広辞苑によれば

心配・不安がなくて、心が安らぐこと。また、安らかなこと。

(文献[2]より引用)

とあります。

排水口の中に落ちたお箸に関して言えば、メッチャ洗って塩素消毒したとしても、本当に雑菌が死滅しているか調べることができなくて不安といった感覚もあるでしょう。

でも、仮に顕微鏡で調べて不安や心配が払拭されたとして、心は安らぐでしょうか?安らがないでしょう。

物理的な安全が確保されても安心できない、ともすれば心理的な要因があるのでしょう。

3. 『穢れ』とは

我々日本人には『穢れ』という概念があります。

国家神話である古事記なんかにも出てくる[3]日本人に染み付いた概念です。

穢れの中でも『触穢』が今回の例に該当するでしょう。

触穢とは『不浄なもの(物理的には清潔でも)に接触すると汚染される』というもの[4]です。

不浄だと物理的に清潔でも汚い感じがする。ということですね。

まさに排水口に落ちたお箸問題そのものです。

家庭内のスケールの小さい話だと「ふーん」という感じになりますが、放射能とか放射線が穢れたものと見なされている[5]と問題提起している人もいます。

差別とか偏見とか風評被害につながる根の深い価値観だと思います。

4. 安心と安全の違い

ここまでの『安心』『安全』『穢れ』の意味から、安心と安全の違いについて考えてみましょう。

 

安全とは:

『科学的に見て害がないこと』

安心とは:

『科学的に安全が保障されていること』

かつ

『穢れのような心理的な不安がないこと』

 

ではないでしょうか。

安心安全の上に成り立ちます。

ですが、どんなに安全でも、安心してもらうには分かり易く粘り強い説明が求められそうですね。

参考

[1]新村出記念財団:安全, 広辞苑 第六版 DVD-ROM版, 岩波書店, 2010

[2]新村出記念財団:安心・安神, 広辞苑 第六版 DVD-ROM版, 岩波書店, 2010

[3]西尾 右:「古事記」の罪穢観, 産業医科大学雑誌, vol. 11, no. 1, pp.43-48, 1989

[4]井沢元彦:学校では教えてくれない日本史の授業, PHP研究所, 2013

[5]小田 啓二:放射能 (Radioactivity) と放射能 (Activity), 日本放射線安全管理学会誌, vol. 3, no. 2, pp.101-102, 2004


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